島崎あき

泣きそうになりながら、必死で書きました。もうやるしかなかったのでしょうね。文法が分かっていて、書きたいものがあれば書けるんです。作家はどれだけ気持ちを訴えることができるかが大切ですから。 これまで知らなかった日本のことを知り、時には涙を流しました。作家本人が感動しなければ、誰が感動するんでしょう。そうでなければ気持ちは訴えられません。 私は長編作家ではないので、せいぜい1日1ページ書くのが限度です。その分何度も書き直しますけど。100ページあれば10回は書き直しますね。 言葉は考えがはっきりしていれば、簡潔になります。 大人になってから学ぶ言葉をパーフェクトに習得するのは無理です。今でも辞書を引きながら新聞を読んでいます。でも、毎日が勉強なので退屈することがないですね。 (モントリオールについて)ここの人は良く言えばおおらか、悪く言えば大雑把ね。でもおおらかでないと芸術は育たないと思うわ。 生きるということは何か自分にできる最大の力を見出して社会に貢献することではないかしら。モントリオールは日本と比べて家族行事や親戚の集まりが少なく人間関係がシンプルだから自分の時間がたくさんあるわね。だから基本的なもの(子育てなど)以外に何か熱中できる仕事や趣味がないと落ち込んじゃうと思うわ。 わたしの本が語学学校などでテキストとして使われていると聞くと、ほんとうにうれしいですね。